しょくじとよだれ。
「
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」
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「
さようなら、こんにちは幸せな日々
」
おじさんに駆け引きって言葉を言わせたかっただけです
「先輩、ごめんなさい。この人を俺にください。」
土下座をする池下の横で僕はただ正坐をする。
僕は、浮気をしている。この年下の男と。
出会いは、今の恋人、千種と友人たちとの飲み会だった。
その時初めて出会った彼は、とても僕に懐いてくれた。
それからはよく連絡を取りあっていたし、都合が合えば飲みにも行った。
兄弟のいなかった僕は、弟がいたらこんな感じなのだと思った。
「先輩と付き合ってるのは知ってます。でも、俺にはあんたが必要なんです。」
彼の発熱しそうなほど、真っ直ぐ向けられるまなざし。ぞくりと疼く感覚に、僕の思考は停止した。
うまく機能しない頭でただ分ったことは、僕も、彼が必要なのだということ。
池下に対する感情は、兄弟というものを超えていた。
そしてこの日の夜、僕は恋人を裏切った。
彼との過ごす時間はとても魅力的だった。
若さ故、僕にも恋人にもない力強さと、決行力を持っていた。
それは僕の全細胞を刺激し、全てが輝いて見えた。
「浅間さん、先輩と別れて、俺と付き合って?」
「…それはできないよ。千種が僕を簡単に手放すわけない」
彼との時間はとても魅力的だった。
だがそれは、千種から逃げる為の避難所でもあったからだった。
恋人は独占欲が強い。
僕が男と二人で出掛けるととても嫉妬するし、その日の夜はレイプのように乱暴に、気を失うまで抱かれるのが常だった。
だからと言って黙っていても、ばれたらさらにひどくされるだけ。
でもそれは僕だけを愛してくれていて、僕を必要としてくれていることだから仕方ないと思った。
何よりも、普段の千種はとても優しい。みんなが羨むような恋人だ。
乱暴に抱かれた後も、僕の方が罪悪感を感じてしまうほど謝ってくる。それも含めて愛しかった。
だが、池下と出会ってからは苦痛を感じるようになった。
恋人と夜を過ごすのが怖くなったのだ。恋人を裏切っているのだから当然といったら当然なのだけれど。
「俺も一緒に行きます。それでも先輩がダメって言うならあんたをさらってやる」
無茶苦茶な事を言っているのは分った。
分ったが、何故か池下なら大丈夫だと思ってしまった。僕は、彼のこの顔にひどく弱い。
僕は少し悩んだが、返事は決まっていた。
「君には敵わないな。こんな老いぼれでもいいんなら何処へでもさらってくれ」
「46歳で老いぼれって言ってたらお年寄りに怒られますよ?」
「そうだね。池下には敵わないが、まだ私も若いね。だからこんな駆け引きじみたことも出来る」
「そうそう。…愛してます」
「私もだ」
そっと触れるだけのキスに胸が疼いて、唇が離れてふと目が合ったら恥ずかしくて、くすくす笑ってしまった。
彼との時間は常に刺激的だ。
この時間がいつまでも続くように、恋人にさよならをいう。
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